Start-uppers Inteview Vol.1: ファーストキャリアだからこそ、スタートアップへ! ~新卒にしかできない挑戦のススメ~

Start-uppers Inteview Vol.1: ファーストキャリアだからこそ、スタートアップへ! ~新卒にしかできない挑戦のススメ~

はじめに:“Start-uppers Interview”とは?

ここ数年、日本国内におけるスタートアップの存在感がますます大きくなる中、「スタートアップにチャレンジしたい」という方が少しずつ増えていることを実感しています。一方で「スタートアップで働くとは、どういうことなのか?」「スタートアップに自分は合っているのか?」といった疑問をお持ちの方がまだまだ多いのが実情です。

そこで「キャリアアカデミー」では、多くの方にスタートアップで働く魅力や具体的なイメージをお持ちいただけるように、当社の投資先企業で活躍されている社員へのインタビュー企画を始めます。

今回は本企画の第1弾。学生から直接スタートアップに入社し、現在は令和トラベル社の執行役員CSOとして活躍されている受田宏基さんをインタビュイーにお招きし、スタートアップでの働き振りや、スタートアップにジョインする上で大事な考え方について、実体験も交えてご紹介いたします。

<令和トラベル 会社概要>
令和トラベルは「あたらしい旅行を、デザインする。」をミッションに、海外旅行におけるあたらしい体験や、あたらしい社会価値の提供を目指すデジタルトラベルエージェンシーです。2022年4月より、海外旅行予約アプリ『NEWT』を提供しています。旅行業界における予約や管理業務のDXを最大化し、これまでになかった“かんたん・おトク・えらべる・あんしん”なパッケージツアー等を提供していきます。海外旅行というエクスペリエンスを通じた社会価値の創造に挑戦します。

<登場人物>
インタビュイー:受田宏基(うけだ・ひろき)氏 (写真中央)  /  株式会社令和トラベル 執行役員CSO
2017年株式会社Loco Partnersにインターン生としてジョイン。マーケティングやセールス、新規事業開発など横断的に活躍。その後2018年同社に新卒入社、民泊事業の立ち上げ、新卒7名の部門長、首都圏外資系ホテルチェーンの担当などに従事。2020年4月には「TASTE LOCAL」を共同創業、グロースを担当。2021年2月、株式会社令和トラベルに執行役員CSOとしてジョイン。

インタビュアー:金沢慎太郎(写真右)・若林正晃(写真左)/ ジャフコグループ株式会社

 

プロローグ:就活を通じて感じた大手企業の空気感

若林:
それでは、早速インタビューしていきたいと思います。よろしくお願いします!

受田さんは学生から直接スタートアップにジョインし、活躍されてきたと伺っています。はじめに、ファーストキャリアをどのように選んだかについて教えていただけますか?

受田さん:
はい、私も最初は周りの人と同じく「大企業に行くだろうな、行きたいな」と思って就職活動をしていました。当時から「自分で何かやりたいな」という思いはあったのですが、やりたいことが明確にあったわけではありませんでした。

また、学生時代にバックパックで海外によく行っていたこともあり、漠然と「発展途上国でなにかしたい」「大きなことがしたい」と考えていましたが、多くの学生と同じく、「大手ってなんかかっこいいな」というのが最初の考えでした。あとは常に「成長できる環境に身を置きたい」とも考えていましたね。

実際に受けた会社も、総合商社やデベロッパー、リクルートといった一般的に学生に人気のある企業が多く、そのうちの総合商社1社から内定をいただきました。大規模案件や海外勤務といった可能性があり、非常に嬉しかったのを覚えています。ところが、内定者懇親会に行った時に、周囲と自分のモチベーションの違いに最初の違和感を覚えました。

内定者同期・先輩の多くは「大企業で大きい仕事に携わりたい」「長く働き続けたい」という方でしたが、私はその中で「自分は同じ動機を持っているか?」と感じたのです。むしろ、「自分は1度大手に属し、その良さを知ってしまうと、外に出たくなくなるかも」と思いました。そこで、成長環境に身を置きたい私は頂いた内定を辞退し、大手という自分にとっての退路を断つことにしました。

次に見たのはメガベンチャーで、中でも当時精力的に採用し拡大していた1社に注目しました。その会社の起業家の方が講演会を多数開催されていましたので、私も実際参加してみると「起業家って、ベンチャーってかっこいいな。自分もベンチャーで挑戦すれば、成長できるかもしれない」と感じまして。選考を受けてみた結果、内定をいただくことができました。

学生最後の挑戦が、スタートアップキャリアのきっかけに

若林:
ベンチャーから内定をもらった後は、どういった経緯でスタートアップにジョインすることになったのでしょうか?

受田さん:
内定後に何をしようかと悩んでいたことがきっかけです。実は4年生で留年したので、学生生活が1年間残っていました。そこで、ベンチャーやスタートアップでインターンシップに挑戦することを考えました。ところが当時関西にはインターシップの受入先が少ないことがわかり…。東京ならば選択肢が沢山あると聞いたので、大阪の家を引き払って東京のシェアハウスで暮らし始めました。

若林:
インターンシップのために東京に移住ですか!ものすごい行動力ですね。

受田さん:
「関西も楽しんだし、東京に行きたいな」と思いまして。元々思い立ったらすぐ行動するタイプでしたし、フルコミットしたいと思ったので迷いはありませんでした。のちに新卒で入社するLoco Partnersでインターンすることに決めたのも、たまたま私と同郷の山口県の方が働いているのを採用媒体で知り、連絡してみたことがきっかけでした。

インターン生活は毎日が挑戦で、刺激的でした。インターンながら週5日コミットしていたので、いろいろと任せてもらえまして。5~6部署を兼務するようになって、人事、新規事業、マーケティング、アライアンスといった様々なテーマに係り、インターンの組織リーダーも担当しました。

若林:
インターンの時から、すごい活躍ぶりですね。そこから、Loco Partnersへの入社はどのように決めたのでしょうか?

受田さん:
実は、インターンしている最中は就職するつもりは全くなく、内定先のベンチャーに行きたいと思っていました。

何なら、学生の内に世界一周をしたかったので半年で辞めますと言っていたのですが…。

インターンを初めて半年してから「インターンリーダーをやらないか」と言われ、楽しそうだと思ったので辞めるのを12月に伸ばし…。12月には「新規事業をやらないか」と言われて、それも楽しそうだなと…。結局2月までインターンをした後の当時社長のしのさん(篠塚)とのご飯で「今からお前を覆す、うちに入社するように」と言われて。見事に覆されて入社しました(笑)。

若林:すごいですね(笑)。具体的には、どのような言葉で覆されたのでしょうか?

受田さん:
「内定先は千人規模の会社だったので、部分的なことしか任されない。昇進したくてもなかなかポストが空きづらい。経験を積むスピードも、裁量も。うちでもあればもっと早く成長できる」というようなことを言われた気がします。

確かに、自分は早くから意思決定できたりマネジメントできたりする環境を望んでいましたし、当時のLoco partnersが次々と新しいチャレンジをさせてくれる・任せてくれる会社だとわかっていたので、コミットすると決めました。

若林:
1年間インターンで働いていたからこそ「自分に合った環境だ」とわかっていたのが大きそうですね。

受田さん:
はい、信頼関係もできていましたし、働き方や自分の役割のイメージがついていました。周りの人も優秀な方ばかりだったことも大きかったです。

それから、若い人が活躍している会社だったのも重要だったと思います。若い人が良いポジションにつけず、中途・経験者が強い組織だったら選んでいなかったかもしれません。 若い人がマネージャー・部長・役員になっているのを見て、新卒でもパフォーマンス次第で重要なポジションをきちんと与えてくれそうだと感じました。

スタートアップで大事なスタンス①:「自分が〇〇領域の第一人者になる」

若林:
では、ここからはスタートアップでの働きぶりについて聞いていきたいと思います。Loco Partners入社当時はどんな生活でしたか?

受田さん:
新卒時代はとにかく量をこなすことを意識していました。新卒で時間のある自分が取れる戦略はそれしかないと思いましたし。寝食共にどっぷり浸かろうと思っていました。

新卒で任されていたのは、「民泊事業」の立ち上げでした。当時は民泊新法が制定されたタイミングでしたが、高級ホテルや旅館を多く扱うLoco Partnersの予約サイト「Relux」のメンバーは、当初「民泊って何?」といった感じでした。

そこで、私は「民泊といえば受田」という第一想起を取りたいと思いまして。当時は家を持たず、毎日違うホステル・民泊に泊まって、宿泊者や運営者の話を聞く生活をしていました。どんなことでもいいので「何かの領域の第一人者になる」ということ。これは、どのスタートアップでも通用する、大事な考え方だと思います。

金沢:
「領域の第一人者になる」という考え方は、どこで学んだのですか?

受田さん:
学びというよりは、生存戦略として自分が持っていた感覚です。

私は「会社や社会は椅子取りゲーム」だと思っています。結局、プロジェクト・事業・ポジションの数は予め決まっている。そうなった時に「この人に任せてみよう」と思ってもらうには、まず想起されないとダメだなと。もちろん、悪目立ちは良くないですが、覚えてもらうというのは、新しい会社に入る上で特に大事だと思います。

この考え方は、高校での部活動での経験で培われました。全国区で強豪のサッカー部に入っていたので、レギュラーに残るにはどうするかをいつも考えていました。私は運動量が強みでしたが、足がすごく早かったり、テクニックがあったりするわけじゃなかったので、どう生き残るか考えて「チームに何が足りていないか」や「監督が何を求めているのか」が大事だと思うようになりました。こうした原体験が効いているのかもしれません。

若林:
学生時代からの経験が、仕事への向き合い方にも通じているということですね。

スタートアップで大事なスタンス②:「隣の芝は青くない、自分の芝を青くせよ」

若林:
お話を伺っていると、スタートアップで活躍されてきた理由がわかるような気がします。はじめから素晴らしい活躍ぶりだと思うのですが、苦しかった経験はありましたか?

受田さん:
実は、新卒1年目は結構大変でした。先ほどお話した民泊事業の立ち上げでインサイドセールスをやっていた時のことです。業務としては、1日最大100件、平均50件の電話をかけ、その場で商談し、受注する、の繰り返しで。飽きてくるんです。そういう時に周りを見ると「フィールドセールスが楽しそう!」と感じたり、友だちに「一緒に起業しようぜ」と言われたりもすると「そっちの方が成長できるかも…」と思ってしまうわけです。

そうした時に、ある上司から「今辞めると癖づくよ」と言われました。「ずっと隣の芝は青く見え続けるよ」と。そのときに、結局「自分が変わらないといけない、いかに自分の芝を青くするかのチャレンジだ」と学びました。

そこからは、目の前の仕事を面白くすることを考えるようになりました。インサイドセールスでいえば「人にものを売る」のではなく、「人に価値を提供する」と考えを変えて。考えを変えると味わい深くなってくることがわかってきて、そこに面白さを感じるようになりました。また「インサイドセールスが上手くいけば、こんな未来が待っている」ということも想像しながら取り組むことで、仕事を楽しめるようになってきました。

この経験が私にとっては非常に重要でした。もし新卒1年目で辞めていたら、その先でも「飽きたら・上手くいかなければ辞める」癖がついてしまったと思います。「根を張る時期」というのがキャリアのどこかで必要だと感じます。

若林:
「捉え方を変える」「根を張って取り組む」というのはスタートアップに閉じず、どの仕事においても大事な視点ですね。スタートアップに挑戦したい人だけでなくとっても参考になる話だと思います。

スタートアップで大事なスタンス③:「モチベーション」は持ち込まない、「メタ認知」で自分を知る

金沢:
スタートアップに入ってみると、最初は意気揚々と楽しんでいる方でも、どこかで「しんどい…」と感じることがあると思います。受田さんはそうした時に、どのように切り替えますか?

受田さん:
そもそも、私は「20代は挑戦だ」と思っていたので、「しんどくて当たり前」だと思っていました。その前提を持てると良いかもしれません。

特に、人間誰しもにモチベーションのアップダウンがあると思いますが、私は仕事にモチベーションの概念を持ち込まないようにしています。縦軸がパフォーマンスで、横軸が時間(≒モチベーションの上下)だとした時に、プロフェッショナルである以上、パフォーマンスは常に横引きである必要があると思っています。

また「自分」をメタ認知する(俯瞰的に見る)ように常に意識しています。1年間の中で、モチベーションの上下にはある程度のサイクルがあると思っていまして。何となくですが「毎年大体11月に、気分が落ちることが起きるよなぁ…。」という感じで。

そういうときに「あ、来たな」と認知して「いつものこと、当たり前だ」と思えれば、数週間~長くても数カ月で終わります。モチベーションが下がっても、長い目で見れば回復するから乗り越えれば大丈夫。モチベーションが落ちるのは仕方ない。そう思っています。

金沢:
学生時代から、そうした考え方をお持ちでしたか?

受田さん:
学生の時は、そうでもなかったと思います。普通に落ち込んでいました。新卒で入ってすぐの時も「何でインサイドセールスばかりやっているのか」と思っていましたし。先ほどお話した「芝を青くしよう」と踏ん張った経験が大事だったと感じています。

最後に:「会社の挑戦=自分の挑戦」と自分事化し、「変化を楽しめる」ならスタートアップへ

若林:
これまで、スタートアップで働く上で大事な考え方を沢山お話いただきましたが、「スタートアップって面白い」と感じたエピソードについても、是非聞かせてください。

受田さん:
「はじめてのこと、わからないこと」にチャレンジできる、シャワーのように沢山経験できるのが面白さの1つです。前職の民泊事業の経験もそうですし、新卒2年目で次年度の新卒7名のマネジメントを経験したときもそうですが、未経験のことばかりでした。特に、マネジメントは7人同時に次々と課題を解決する膨大さの代わりに、時間を先取りした感じがしました。

スタートアップの1番の面白さは、こうした自分の領域や範囲がどんどん広がっていく、広げられることだと思います。大企業は大きな仕事を大勢で取り組む組織としての魅力があります。

一方、スタートアップは、会社がやるべきことがどんどん増えていくので、会社が成長すればするほどスキマができます。そのスキマを、自分事と捉えて「それ僕がやっておきます」と声掛けできたり、「チャレンジしてみます」と挙手できたりする。オーナーシップを持って、スキマを補っていくのがスタートアップのメンバーです。

大企業は組織の中で上下がはっきりしていますが、スタートアップはいわば「球」、CEO・役員・メンバーの誰が偉いというのがない、フラットな組織だと思っています。「球」の表面積がどんどん大きくなっていく中で、組織がフラットなので、誰が仕事を取りに行ってもいい。だから、自分次第でいくらでも成長できる。その環境こそがスタートアップにジョインする醍醐味の1つだと思いますね。

あとは「変化を楽しめる」ことも大事だと思います。常に変化するのがスタートアップですから、自分のやる領域や、会社のフェーズがどうしても変わっていきます。変わることが楽しいと思えると、そこはポジティブだと思いますね。

金沢:
受田さんは、インターンシップのために関西から東京に移り住んでいますから、変化を楽しめるタイプかもしれませんね。逆に「変わることが怖い」とか、変化を楽しめない人には向かないのかもしれません。

受田さん:
そうかもしれません。当社にも大手から転職してきた方がいますが、「これまではこうやっていたから、ここでもこうやりたい」という人は、なかなかなじむのに苦労しながら乗り越えていっている印象です。

勿論、スタートアップの変化は激しいですし、前例がないことも多いです。前例がないことに強烈なストレスを感じる方もいらっしゃると思います。そういうのが苦手だという人は、まずは型を学ぶために大手に入るという選択肢もありますよね。

大手で学んだ仕組みや物事の進め方といった「型」は、何もないスタートアップにとって貴重ですから、大手をファーストキャリアにするのも1つの手だと思います。ただ、スタートアップに入るなら、自分自身の成長のためにも「変化を楽しめる」は前提にしたいキーワードですね。

大企業も、スタートアップも、どちらにも良さがありますが「早期に成長したいなら、スタートアップ」という選択は、手触り感をもってできることの広さ・大きさ・速さのどれをとってもオススメです。

若林:
最後のお話から、スタートアップで働く心構えや、大事にしたいことに加えて、大企業をファーストキャリアにする意味も見えてきました。今日は様々な方にとってキャリアの参考となる貴重なお話を伺えたと思います。

本日は貴重なお時間を頂き、ありがとうございました!是非これからの受田さんの挑戦を応援しています。

受田さん:
こちらこそ色々と気づきがありました。是非多くの方のヒントになればと思います。ありがとうございました!

令和トラベルは「トラベルテック」を掲げ、デジタルの力を最大限活用しながらこれまでの旅行業界に新たなスタイルを築く挑戦を続けています。そのような会社の成長を自らリードし、同時に自らの成長も体現してきた受田さんのエピソードには、皆さんにとって新しい考え方だけでなく、“実は色んな人に共通するヒント”にも溢れていたように思います。

本記事が新卒の皆さんだけでなく、大企業やメガベンチャーで働く多くの皆さんにとっても、スタートアップに挑戦する・興味を持つきっかけになりましたら、嬉しく思います。これからもスタートアップキャリアを紐解く情報をお伝えしていきたいと思います。次回もお楽しみに!

NEWT(ニュート):https://newt.net/
令和トラベル:https://www.reiwatravel.co.jp/

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