Start-uppers Inteview Vol.5: 「“後悔しない選択”を突き詰めた、スタートアップへの挑戦」 ~ “圧倒的当事者意識”の裏側に秘めた急成長キャリアのヒント ~

Start-uppers Inteview Vol.5: 「“後悔しない選択”を突き詰めた、スタートアップへの挑戦」 ~ “圧倒的当事者意識”の裏側に秘めた急成長キャリアのヒント ~

はじめに:“Start-uppers Interview”とは?

“Start-uppers Interview”は、「スタートアップに興味はあるけれど、働き方やスタンスが自分に合っているのか不安だ」という方に、スタートアップで働く魅力や、より具体的なイメージをお届けする連載企画です。

今回は、現在の株式会社リクルートで約10年間キャリアを積まれた後、現在は株式会社パートナープロップの共同創業者として活躍する金田美幸さんにお話を伺いました。新卒での就職活動から、徹底的に調べ、考えて、行動するといった、強いコミットメントを感じさせる金田さんに話を伺う中で見えてきたのは「後悔しない人生を追求し続ける」というシンプルな行動指針でした。圧倒的な成長を望み、スタートアップに挑戦してみたい、という方にとっては大いにヒントになるお話が伺えています。是非ご覧ください!

<株式会社パートナープロップ 会社概要>
パートナープロップは「共創を、社会のエンジンに。」というミッションを掲げ、「パートナーチャネル」のアップデートを実現するスタートアップ企業です。企業が販売代理店や小売業者などのビジネスパートナーとの関係を強化する手法「PRM(パートナーリレーションシップマネジメント)」を簡単・便利に実現できるパートナー関係管理システム「PartnerProp(パートナープロップ)」を開発・提供しています。企業間を跨ぐパートナー活動状況の”見える化”や、パートナーと共に販売促進していくための”仕組み作り”が難しいこの領域において、日本を代表とするリーディングカンパニーとして企業間の共創を促進する社会の実現を目指しています。

<登場人物>
インタビュイー:金田美幸(かねだ・みゆき)氏
株式会社パートナープロップCOO
上智大学外国語学部卒。株式会社リクルートにて不動産デベロッパー向け広告営業、新規事業開発室 金融事業セールス部門立ち上げ(通期MVP多数受賞)。SaaS事業におけるアライアンス立ち上げを経てパートナープロップCOO就任。現在、アライアンスや採用戦略、バックオフィスなど横断的に推進。

インタビュアー:若林正晃(ジャフコグループ株式会社)

プロローグ: 「圧倒的な成長と共に歩む仲間」を軸に選んだベンチャー気質のキャリア

若林: 本日はよろしくお願いします!まずは、金田さんのご経歴から伺いたいのですが、よろしいでしょうか?

金田: よろしくお願いします!私は2014年に現在の株式会社リクルート(当時は分社化していたため、株式会社リクルート住まいカンパニー)に入社し、約10年間在籍していました。リクルートの内で3つの部署を経験した上で、現在のパートナープロップにジョインしたという流れです。

リクルートでの経験ですが、初めは不動産広告の部署に配属され、約5年間、大手デベロッパー企業のお客様に対するコンサルティング営業を行っていました。その後、新卒4年目以降で利用できる社内転職制度を使って、新規事業の立ち上げ部署に移動しました。当時、他のベンチャー企業に誘われてもいたんですが、「社内にも同じような機会はないだろうか」と探してみた結果、金融事業を立ち上げる新会社に入ることができまして。社員も約30人だったので、まさにベンチャーといった環境でした。その後、事業統合があってSaaS事業部へ移動し、そこでアライアンスの立ち上げを約1年担当しました。パートナープロップの代表である井上とは、この事業部で一緒になっています。

若林:ありがとうございます!前職の中で、様々なご経験をされていて、とても刺激的だったのではないか、と想像します。そもそも、1社目にリクルートさんを選ばれたのは、どういった理由でしょうか?

金田:新卒の就職活動での軸は、「成長」「人」「英語」の3点でした。最終的に英語を活かせるかどうかは軸から外したのですが、「成長」と「人」、つまり、優秀な人がたくさんいる環境で、自分自身が一番できないような環境に行くことを重視していました。

実は大学時代に、社員3〜4名ほどのベンチャーに近しい中小企業で長期インターンをしていまして。ベンチャー気質が自分に合っていると、その時から感じていました。ただ、その時の社長から、「1社目にベンチャーに行っちゃうと大企業に入るのは難しくなる。ベンチャー気質でありながらも、規模が大きい企業が合っているんじゃないか」というアドバイスを受け、それに合った企業を探すことに決めました。

就職活動では50社以上の会社とコミュニケーションしましたが、リクルートは私の軸に完全にマッチしていました。また、会う人会う人全員が会社のことについて同じように話していましたので、「この会社は入ってからのギャップがなさそうだ」と確信できました。出会った中で1番しっくりきたので入社を決めましたが、今でも2014年の新卒で入るなら同じ選択をしますし、「120点」の会社に入ることができたと感じています。

若林:徹底的に自分の足で会社を見て回り、確度を高め、納得できる選択をされたんですね。就職活動のモデルケースのように感じました。約10年在籍されて、良かった点はありますか?

金田: やはり、自分にベストマッチした企業に入れた、ということが全てだと思います。リクルートのカルチャーとして「仕事の報酬は、仕事」というのがあるんですが、やりたい仕事は自ら取りに行ける、成果を出せば次にチャレンジングな仕事が得られる、という環境を表した言葉でして。成果を出せば1年目からやりたいことをやらせてもらえる会社だったので、私はすごく好きでした。

また、誰が言ったかではなく、何を言ったかを重視するといった「挑戦を奨励し、仕事の進め方や成果に対する率直なフィードバックが得られるカルチャー」も、成長を後押ししてくれ、居心地が良かったですね。

「後悔したくない」が原動力。育休中に掴んだ“お試し転職”から共同創業へ

若林:お話を聞いただけでも、リクルートさんがとても素敵な会社だと感じました。そんな120点満点だった前職から、スタートアップにキャリアチェンジされたのは、なぜだったのでしょうか?

金田:転機は育児休業中に、SaaS事業部で一緒だったパートナープロップ代表の井上から連絡があったからです。そもそも育児休暇に入る前から「副業をしようかなぁ」と考えていました。子供の様子次第で、全然寝ない日もあれば、日中暇になる時もあるなど、変動はありながらも持て余す時間ができてしまうのが嫌で。そんな時にたまたま声がかかったんです。

当時のパートナープロップは、まだ会社として登記もしておらず、育休中に報酬を受け取るわけにもいかないので、「自由研究に近いような誘い」だと思って、気軽な気持ちで報酬なしのノーコミットで自分の好きな時に自由研究するスタイルでスタートしました。

若林: 育休中という中で、新しいキャリアを試してみるというのは、非常に勇気がいることだと思います。凄いことですね。

金田:井上が誘ってくれたので、目の前に現れたその機会に乗ってみたという感覚です。ただ、機会にトライできた根底には、常に「後悔したくない」という私の価値観があると思います。幼少期に母が「もっと勉強すればよかった」「あの時こうすれば良かった」などとよく過去の後悔を口にしていたのを見て、「自分は、未来の自分が後悔する人生にはしたくないな。後悔しない方がきっと幸せだ」と思ったことがありました。その原体験が糧になって、「やらぬ後悔よりもやる後悔」をモットーに、行動し、意思決定をしてきた中で、次の良い道が開けてくるという感覚を得るようになっていきました。

今回も育児休業中に感じる「キャリアを中断している期間を有意義にできないか」という想いが、原点にありましたね。

若林:なるほど!就職活動でも、徹底的にご自身のキャリアについて考えて行動されていましたが、そうした背景があったんですね。後悔を少しでも減らす意味でも、スタートアップの雰囲気を味わいながら、ご自身とのマッチング度合いを見極める“お試し”としての副業は有効だと思いました。

金田:実は、育休に入る前にもリクルートに申請して別のスタートアップでの副業をしていました。そのおかげで、スタートアップの肌感覚は掴めていました。元々ベンチャーには興味がありましたが、このステップを踏んだことは非常に良かったと感じています。

スタートアップであろうとなかろうと仕事の根本は「課題解決」。大事なのは「面白いかどうか」

若林:1社目からスタートアップに転職された中で、何か違いを感じることはありましたか?

金田: 総じて言うと、「想定の範囲内」で、大きな違いは感じませんでした。1社目も、現職も「会社」であることには変わりなく、「課題を設定し、解決していく」という点では同じです。基本的な仕事の進め方は変わらないと感じます。

若林:驚くほどの差はなかったということですね。とはいえ「ここは違った」という点はございますか?

金田:あえて言うと、前職は規模が大きく、社内外のステークホルダーが多様に亘る分、何か問題が起きないように意思決定のレイヤーが複層的だったり、検討が緻密だったりしたのに対して、スタートアップは意思決定のスピードが凄まじいですよね。そして何より「会社としての型がない」ことは大きな違いかもしれません。

多くの大企業では、長年実績が蓄積される中で整備された仕組みやプロセスが存在し、それらを活かして物事を進めていくと思いますが、スタートアップには本当に何もありません。仕組みやプロセスを作るところから始める、ここが面白いと思えるかどうかは大事だと思います。

特に、大企業出身の方は、大企業の仕組みやプロセスを知っているからこそ、スタートアップにそれを適用し、必要な業務や意思決定フローを整備することができます。前職で培った組織を動かすダイナミズムや経営上の抑えるべき論点への理解も、スタートアップで大きく役立つと感じています。

スタートアップで成果を上げる、成長する極意は“圧倒的当事者意識”

若林:ありがとうございます。前職以前での経験が、スタートアップのキャリアにも活かせるということですね。成果を上げるという意味で、スタートアップで活躍するために、金田さんが考える重要なことは何でしょうか?

金田:第一に挙げたいのは、「圧倒的当事者意識」ですね。リクルートが掲げるバリューであり、当社のバリューとしても引き継いでいるキーワードです。

スタートアップにおいては、究極を言えば「自分の仕事」というものがありません。事業を伸ばすために必要であれば、自分の役割を越えて動く必要があります。例えば、営業であれば、自分がフィールドセールスでも、インサイドセールスに課題があればそちらに介在して根本解決していくといった形で。「自分の領域の外側に染み出していく」ことが求められると感じます。

若林:事業成長に向けて、全体最適で考え、行動しようという視点ですね。

金田:まさにその通りです。会社や仕事によっては「染み出してはいけない」と言われる環境もあると思いますが、その“染み出さないで”という状態をキツい・嫌だ、と感じる人こそ、スタートアップに向いていると思います。

例えば、世の中のインフラである企業では、1つのミスも許されないような仕事が沢山あります。そういった会社では、自らの範囲を超えて動くことは重大なトラブルに繋がりかねないために良しとされません。そこには明確な理由がありますよね。逆にスタートアップは「全員が自分の範囲を越えていかないと、会社成長に追い付かない」環境です。事業全体の課題に対して「自分がやらなきゃ、誰がやるんだ」という気概を持つことが大事だと感じます。

若林:会社としても常に成長し続けることが求められる、スタートアップだからこそ重要なスタンスですね。

金田:はい、そう思います。その意味で、もう1つ重要なのは「事業を伸ばすことをどれだけ楽しめるか」だと思います。スタートアップは、常に様々なリソースが足りません。1人が何役もこなすことは当たり前ですから、役職や特定の業務へのこだわりが強い人には合わないと思います。

私自身、創業初期は営業からカスタマーサクセスに至る各部門を自ら立ち上げましたし、今はCOOでありながらHRを兼任しています。常に「何でも屋」の状態ですが、自分の役割が変わることは気になりませんし、むしろそれが好きなので楽しいです。とにかく「事業成長において、今の布陣だったら自分がこれをやる方が事業は伸びる」と判断し、動いています。そこにやりがいを感じられるかは重要だと思います。

若林:お話を聞けば聞くほど、金田さんの「圧倒的当事者意識」が伝わってきます。事業成長を面白がり、本気で取り組む。元々の軸であったご自身の「成長」が、会社の成長と重なっているようにも聞こえます。

金田:確かにそうかもしれません、今日言われて気づきました。私にとっての「成長」の定義は、元々は「できないことが、できるようになること」でした。しかし、スタートアップで働くにつれて、「事業成長に対して重要な役割を担い、インパクトのある関わりができているかどうか」に変わってきたように思います。「できるか、できないか」ではなく、「やるか、やらないか」という軸で物事を考えるようになったと思いますね。

ちなみに、「やるか、やらないか」に対する答えはいつも「何が何でもやる」しかないのですが(笑)。その意味では、つまるところ、「圧倒的当事者意識」がやはり大事ということだと思います。

最後に:人生を懸ける価値を感じられる、「自分が後悔しない」キャリア形成を

若林:ここまで、スタートアップに挑戦し、成長したいという方にとって沢山のヒントをいただけたように思います。最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

金田:私がここまで社会人をやっていて感じるのは「役職や職種といったポジションは、あくまで手段」であって、「目的」にはなり得ないということです。私は「自分がやりたいこと」や「ありたい自分」を大切に、後悔しない人生を歩みたいと考えています。そのため、役職や年収を追い求めた結果として、自分がやりたいことに制限がかかるなら、それは自分の気持ちを無視している状態だと感じます。

逆に、もし「つまらない」「もやもやする」と感じることがあれば、それは変化すべきサインかも知れません。その時の状態を脱却して次に行くべきだ、という大事な指標だと思っています。個人的には、「事業を伸ばしていく重要な柱で、かつプレイヤーであることの面白さ」が今のありたい状態なので、もし「プレイイングはなしのマネジメントのみがミッションのCOO」になるフェーズになれば、その時はCOOを引き継ぎたい、と入社前から代表の井上に話しています。会社が大きくなればCOOに求められる役割も変わっていくので、その時は自分も変化すべき時。「ありたい自分」を追求し続けられる社会人人生がいいなと思います。

人生は一度きりです。納得しない、もやもやする生き方は勿体ない。仕事をしていく上でも、自分が本当に納得して働けているか、自分が大切にしたいことは何かを考え、自分や周りの人の幸せを生み出せる方が有意義だと思います。そのフィールドが大企業にある場合も、スタートアップにある場合もあります。それを判断できるのは、自分自身です。

スタートアップには「何もない」という自由があり、自らの力で価値を創りだせる可能性は大きいと思います。しかし、組織体力としては大企業には到底及びません。全員が全力でアウトプットを追求しないと会社が存続できないかもしれない。そういう環境です。

それでも私は、スタートアップが人生を懸ける価値があるキャリアの選択肢だと思います。「圧倒的当事者意識」を持ち、「事業成長」を楽しみ、「ありたい自分」にこだわって挑戦すれば、きっと結果はついてくる。そういう人がもっと沢山増えれば、日本のスタートアップエコシステムはもっと盛り上がるはずです。是非、事業を通じて未来を切り拓く仲間が1人でも増えてほしいな、と思います。

若林:金田さんの一貫した「後悔しない」、言い換えれば「自分を大事にする」その姿勢が、揺らぐことのない“圧倒的当事者意識”の源泉なんだと、改めて感じました。最後に熱いメッセージを頂き、本当にありがとうございます。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

金田: こちらこそ、ありがとうございました!

金田さんのキャリアは、原体験に基づく「後悔したくない」という強い想いから来る、徹底した意思決定の積み重ねによって築かれたものでした。大学時代からご自身の胸に秘めていたベンチャーマインドをヒントに、1社目を選び、その後スタートアップに挑戦したのも、ご自身の感覚を大事にした選択だということでしょう。

自分の人生においても、パートナープロップにおける事業成長の第一人者としても、「圧倒的当事者意識」を発揮し、活躍してきたからこそ、自信に溢れるお話が伺えたのだと感じます。また、スタートアップに完全にジョインする前に、副業や無償の形で試しに働いて見るという「お試し」の動きは、キャリアの選択肢を広げる大きなヒントでもあると思います。

スタートアップでのキャリアは、「何もない自由」の中で「ありたい自分」を追求しながら、事業成長というダイナミックな瞬間の連続に直接関わることのできる、人生にとって大きな意味を持ちうる挑戦になるはずです。是非ご自身の胸の中にある「大事にしたいもの」を紐解くことから始めてみていただきたいと思います。

本記事が、大企業や学生の皆様が抱くスタートアップへの疑問や不安を解消し、自らの人生に納得できる新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

パートナープロップ 会社HP:https://partner-prop.com/

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