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Start-uppers Interview Vol.7: 「スタートアップで歩む“ビジネスグロース”エンジニアへの軌跡」 ~ データの力を信じ、圧倒的な事業成長を支えるキャリアの挑戦 ~
目次
はじめに:“Start-uppers Interview”とは?
“Start-uppers Interview”は、「スタートアップに興味はあるけれど、働き方やスタンスが自分に合っているのか不安だ」という方に、スタートアップで働く魅力や、より具体的なイメージをお届けする連載企画です。
今回は、株式会社リクルートにWebマーケターとして新卒で入社した後、現在は株式会社Antwayのエンジニアリングマネージャーとしてご活躍されている佐々木さんにお話を伺いました。短期間でマーケティング×データサイエンスの領域で専門性を磨いた上で、現在はプレイングマネージャーとして組織を束ねる役割を担う佐々木さんに話を伺うと、“エンジニア”という職種における大企業とスタートアップそれぞれの魅力が見えてきました。「手触り感」のあるご経験を踏まえたキャリア選択は、職種にかかわらず、「自分も、こう考えればスタートアップに挑戦できそう」というヒントになると思います。是非お読みください!
<株式会社Antway 会社概要>
株式会社Antwayは、調理経験豊富なシェフと管理栄養士が監修し、専用キッチンで手作りしたお手頃価格のお惣菜を、毎週ご家庭に冷蔵でお届けする手料理サブスク「つくりおき.jp」を展開しています。ミッション「あらゆる家庭から義務をなくす」を実現し、家庭の家事負担を軽減することで、家族との時間、活躍できるキャリア、趣味や社交で充実した余暇などの様々な機会に対して、誰もが前向きに取り組める世界をつくることを目指しています。
<登場人物>
インタビュイー:佐々木 彬弘(ささき・あきひろ)氏
株式会社Antway システムアーキテクト部 部長
東京大学経済学部卒。新卒で、現株式会社リクルートにWEBマーケティング職で入社。不動産領域にて、WEBマーケティングのモニタリング基盤構築、統計的効果検証の設計、データ分析と施策提案を推進。同社在籍時から株式会社Antwayにて副業の形で係わり、2021年に1人目データエンジニアとして正式ジョイン。現在は、手料理サブスク「つくりおき.jp」をIT面から支えるシステムアーキテクト部の部長として、エンジニアリングとマネジメントを両立しながら、事業成長に邁進中。
インタビュアー:若林正晃(ジャフコグループ株式会社)
プロローグ:大組織で痛感した「データの初期設計」と「事業への手触り感」の乖離
若林: 本日はよろしくお願いします!はじめに、佐々木さんのご経歴から伺えますでしょうか。
佐々木:はい、お願いします!私は2019年に新卒で株式会社リクルートに入社しました。入社後は、リクルート住まいカンパニーのマーケティング組織に配属され、マーケター兼データアナリストとして3年弱在籍しました。
若林:1社目にリクルートさんを選ばれたのは、なぜだったのでしょうか?
佐々木:大学時代からプログラミングやインターンの経験を通じて、データ分析やデータサイエンスを活用してビジネスをグロースさせることに関心がありましたので、自ら事業成長に関わることができる事業会社に行きたいと考えていました。そのため、就職活動では大規模なデータを扱えるであろうITに強いメガ・ミドルのベンチャーを見ていました。当時は、0→1というよりは、データを使って1→100や、更にその先に事業を伸ばしていくことに挑戦したいと思っていましたね。
若林:なるほど、そのような考えがあって、1社目にリクルートさんに入社すると決めたのですね。3年弱の業務は、どのような内容だったのでしょうか?
佐々木: はい、Webマーケティング組織への配属でしたが、いわゆる広告運用やSEO対策ではなく、主にマーケティングに必要なデータ基盤やダッシュボードの整備といった、マーケティング自体をサポートするインフラとしての役割を担っていました。不動産広告サービスのユーザー行動ログ・広告出稿データなど、日々生まれる大量のデータを扱う仕事でしたので、自分がまさに求めていたことで、面白いと感じながら仕事に励んでいました。
若林:なるほど、特にどの辺りが面白いと感じたのですか?
佐々木:やはり圧倒的にデータ量が多かったことはありますね。十分なデータのおかげで様々な傾向が見え、分析から示唆が得られるというのが非常に面白いと感じていました。大きな組織で複雑なプロジェクトマネジメントも経験させていただき、自分のキャリアにおいて大きな資産になりました。
逆に、難しいと感じていたのは、会社の規模が大きくなるにつれて、データの品質を保つ難易度があがるということです。会社として事業を広げていく中で、従来使っていたKPIとは別の切り口でデータを測定・評価していく必要が出てきたり、効果的なCRMを打つために事業間で顧客IDを共通化したり、といったテーマが出てくるのですが、これまでのデータ構造を作り変えるのは非常に骨が折れる作業ですし、だからといって継ぎ足しのように追加を繰り返すと、扱いづらいデータになってしまいます。初期設計が重要なのですが、将来を予測して初めから作るというのも難しいことですから、成長と共に誰もが抱え得る悩みではないか、と考えています。
若林:事業や組織を成長させながら、全体感を意識してデータをクリーンに保つのが難しいということですよね。会社の設立時から、どのような事業をいくつ立ち上げるかを予め考えるというのも、変化に富んだ社会においては不可能に近いと思いますし、成長を続けていく企業だからこそ、抱える悩みなのでしょうね。
佐々木: はい、そう思います。全く悪いことではなく、成長の証ですから、どのように乗り越えていくか、を考えることが重要だと思います。
一方、私自身のキャリアという視点で見ると、事業規模が大きくなるにつれて検討すべき事項を先に知ることができたことは、非常に大きな学びでした。スタートアップにおいてゼロから組織やシステムを設計する上で、はじめから将来の成長を見据えておくべきだ、という教訓として、私のキャリアにとってはポジティブに活きています。

副業をきっかけに、解像度が上がったスタートアップキャリア
若林:お話を伺うだけでも、前職で様々な経験をされ、学びを重ねていったのだと思うのですが、そこからスタートアップに転職されたのは、なぜだったのでしょうか?
佐々木:一番の理由は、Webマーケターとして自分がやっていたデータ関連の仕事の面白さや学生時代からのデータサイエンスへの興味を踏まえて、エンジニアとしてのキャリアをより深めたいと思ったからです。前職では、会社の規模が大きく仕組みが出来上がっている分、1人ひとりが比較的小さい単位の業務を担うという構造でした。リスクをできる限り減らしていく姿勢としては当然のことなのですが、Webマーケターとして入った私が、エンジニアリングの様々な領域に染み出していくことは難しかったのです。
若林:ご自身のキャリアを考えた時に、エンジニアリングを通じてより幅広い経験をどんどん積んでいきたい、と考えたのですね。
佐々木: そうですね。データでビジネスを伸ばすという新卒からの軸は変わっていませんでした。これを追求するには、マーケティング、データサイエンス、エンジニアリングといった全ての領域を自分で手を動かしながら知らないといけないと考えたんです。聞きかじった知識ではなく、「手触り感」を持って実際の事業活動の中でディープダイブした経験を20代の内に積んでおくことが大事だと感じました。
若林: そのような中、Antwayさんとはどのようなきっかけで出会ったんですか?
佐々木: リクルート時代の先輩がAntwayの1人目の社員としてジョインしており、その先輩に声をかけられて、副業としてデータ基盤整備などに携わり始めました。求めていた環境だと感じながら、働くことができ、非常に楽しく関わっていましたね。
若林: その副業が、現在の本業になったわけですよね。転身の決め手は何だったのでしょう?
佐々木:当時、転職活動も進めていたのですが、成長して規模が大きい会社や、成熟している会社では、前職と同じくデータにまつわる業務がしっかりと細分化され、分業されていると感じました。そうなると、私が求めていた「上流(戦略企画)から下流(開発)までデータを使ったビジネスグロースに関わり、オーナーシップを持つ」ような経験を積むことは難しいなと。そこで、より小さいスタートアップに興味を持つようになりました。
若林:なるほど、小さい会社の方が、望む経験を積むことができると判断されたんですね。
佐々木: はい。一方で、スタートアップ企業にジョインするのも、なかなか難しい意思決定ではあります。事業や人といった様々な部分で不確定要素が多く、自分自身の役割もそれに応じて変動するためです。そのような中で、Antwayは、副業を通して代表や経営陣の考え方にも共感できましたし、信頼感もありました。何より人柄が良く、副業として1年半近く働いていた感覚からしても「入社して引き続き活躍できるだろうし、一緒に働く仲間も良い人ばかりだし、楽しめるだろう」と思えたので、入社を決めました。
若林: 挑戦のハードルを下げるという意味で、副業での「お試し」は非常に有効だったのですね。
佐々木:はい、私の場合は「結果的に」でしたが(笑)。特にシード・アーリーフェーズのスタートアップへの挑戦に迷っている方には、副業がオススメですね。スタートアップの中でも不確実性が高いフェーズなので、事業をピポットしたり、求められる仕事が大きく変わったりする可能性もあります。私の場合は、副業で関わっていたので、会社のミッションや事業、中にいる人に対する解像度を事前に高めることができ、不確実性を低くなって安心して意思決定できました。転職のように、完全にキャリアチェンジするわけでもないので、リスクも少ないですから、是非トライしていただきたいですね。
大企業とスタートアップの違いは「PDCAの高速さ」と「自らが事業・組織を作りあげる余地」
若林:前職とスタートアップを両方経験された佐々木さんとして、違いを感じたことはありましたか?
佐々木:スタートアップは、やはり意思決定のスピードは凄まじいです。前職では、1つのミスが事業全体に与える影響も大きいため、十分な検討や承認プロセスを経ることが重要でした。多くの関係者や既存事業を守りながら価値を提供し続ける上では、非常に合理的な考え方だと思います。
一方でスタートアップは、意思決定を遅らせること自体がリスクになる場面も多く、限られた情報の中で判断し、結果を受け止めながら素早く軌道修正していく姿勢が求められます。
ミスが許されるというよりも、「仮説検証を高速で回し続けること」に価値が置かれており、事業フェーズに応じて最適な意思決定のあり方が異なるのだと感じています。
若林: 他に感じた違いはありましたか?
佐々木:スタートアップは「会社としての型がないからこそ、自分で考えて作りだすことができる」というのも特徴ですよね。大企業は仕組みやプロセスが既に整備されていて、それに沿って進めることで顧客に価値を提供していますが、スタートアップでは、顧客に価値を届ける仕組みやプロセスを0から作るところから始まります。
私としても、自分の力で0からやってみたいという思いがありました。Antwayでは自分でデータ組織を作るところから始めていきましたが、データにまつわる様々な業務を全体的に経験したいという、転職理由とも合致したので、良い機会に恵まれたと感じています。
Antwayでは、前職での実体験に基づく知識・スキルが、組織やビジネス全体のアーキテクチャを設計する際に、非常に役立っています。私の場合は、かなりエンジニアに紐づいた話ですが、前職以前、特に大きな規模の会社で働いた経験は、スタートアップで活躍する上で強力な資産になると思います。
また、スタートアップは実践の場に溢れています。意思決定を高速で行う必要があるので、PDCAサイクルがとにかく速い。1つの仮説を立てたら、すぐに事業に当てはめて実践し、検証する。高速で「型作り」を進化させながら、自分にとっても急速に経験値が積み上がっている感覚があります。

スタートアップの醍醐味を感じるため成長を加速させる3つのスタンス
若林:佐々木さんが、ご自身が求めたキャリアをスタートアップで実現されていることがわかりました。その結果、事業成長にも貢献しており、ご活躍が素晴らしいですね。佐々木さんご自身が、活躍するために大事にしていることはありますか?
佐々木:大きくは3つですね。1つ目は「現場の手触り感を大事にする」ことです。事業を伸ばす上で、常に起点にあるのは事実(ファクト)です。得られたデータに基づいて、何が実現されればお客様や事業を運営する会社、他に関わるすべての人にとって良いのかを考える基盤だと思っています。
私の場合、データサイエンスやエンジニアリングに広く関わっていますが、その中でも絵にかいた餅ではなく、実態に根ざした設計を心掛けることを大事にしています。これは、私が前職での経験を踏まえて感じている初期設計の重要性にも繋がっています。常に現場に向き合い、ビジネスグロースに必要な、すなわち将来にわたって事業にとって有用な業務やシステムアーキテクチャーを、全体感を以て設計する。この「手触り感を追求する」姿勢は、事業を創りあげていく上で非常に大事だと思います。
2つ目は、「自分の限界を超えて、事業と自身の進化を楽しめる」かどうか、だと思います。私は文系出身ですが、学生時代にエンジニアリングという領域に出会い、面白いと感じて今に至ります。スタートアップにジョインしてからも、専門外の領域に対して壁を作らず、様々な役割を担う必要がありますし、常に事業成長を目指した全体最適での動きが求められます。そのような環境に身を置くことが楽しいと感じられる人は、是非チャレンジしてほしいです。お試しで副業するのも、適性を見るには良いと思います。
若林:逆に、特定の専門技術を深く磨きたい、一つの領域にこだわりたいという人は、役割が広がりがちなスタートアップには向かない、ということでしょうか?
佐々木:絶対に向かないわけではないと思います。ただ、スタートアップの目的は、あくまで事業成長によって世の中に対して大きく価値貢献することですから、領域や手法にこだわっていられない場面が多いと感じます。専門性を磨きあげるというよりも、実際のビジネスの中で、専門性を磨きつつ変化への適応力も磨くというのが、スタートアップで得られる経験ではないかと思います。
「広く浅く」のように聞こえるかもしれませんが、「特定のフェーズのビジネスをデータでグロースさせる」という軸では、深さのある経験値を積むことができます。何を専門性と捉えるか、でこの点は変わってくるのではないでしょうか?
最後に、3つ目は「何よりもオーナーシップを持つ」ことですね。事業成長というスタートアップの至上命題をクリアし続けていくためには、自分自身が当事者である、という想いでコミットすることが求められると思います。1つ目や2つ目を体現していくための、ベースにある考え方だと思いますね。「このスタートアップならば、人生の一部を懸けてもいい」と思える会社に出会えたら、幸せなことだと思いますね。

最後に:「グロースを面白がる」のがスタートアップの醍醐味
若林: ここまで、スタートアップに挑戦したい方にとって多くの具体的なヒントをいただけました。最後に、読者の皆さんにメッセージをお願いします。
佐々木: 私の場合はエンジニアとしての経験に基づいた気づきや学びですが、職種や会社の規模に限らず、今の仕事の中で何かしらの課題に気づいている方は多いのではないかと思います。そうした方々に、スタートアップというキャリアで、その課題感が活かせることを知ってほしいです。
同時に、現場に常に向き合いながら、事業成長を面白がることができるならば、スタートアップはあなたにとって絶好の環境だと思います。何もない環境だからこそ、自分の力で価値を創りだせる可能性が大きいです。挑戦するか迷っている方は、私のように副業や無償での参画を挟んで、スタートアップへの解像度を上げてからでも良いと思います。納得感と、挑戦への期待を胸に、新たなキャリアへの一歩踏み出してほしいです。
若林:最初の一歩を踏み出すためのヒントを沢山いただけました。本日は貴重なお話ありがとうございました!
佐々木: こちらこそ、ありがとうございました!
佐々木さんのキャリアは、大学時代から変わらない「ビジネスをグロースさせる」ことへの一貫した興味と、データという軸から発展したものでした。エンジニアという職種でありながらも、事業成長に魅力を感じて挑戦を続けてきたという独自性の高いキャリアだと感じます。
また、大企業での様々なプロジェクトマネジメント経験や、組織が巨大化する過程で発生する課題を先回りして知ることができた点は、スタートアップという「型のない」環境で、将来を見据えた仕組みづくりをリードする上で、有力な資産となっています。
キャリアについても、副業を通じて、スタートアップの世界を実際に手を動かして体感するとともに、経営者や仲間との相性を確認した上で参画したというプロセスは、不安を解消する現実的な方法だと思います。その上で、スタートアップの日々の変化や成長を面白がれると感じたならば、挑戦して間違いないのではないでしょうか?
本記事が、スタートアップへの挑戦を志す皆様の背中を押すきっかけとなれば幸いです。
Antway 会社HP:https://antway.co.jp/
手料理サブスク「つくりおき.jp」サービスHP:https://www.tsukurioki.jp/

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